アファンの森財団と地域が一丸となった森林保全の取り組み
里山の再生や子どもたちの心の再生に取り組んでいる一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団では、かつて人と里山をつなぎ人々の暮らしを守り支えた馬のいる景色を信濃町に取り戻したいという故C.W.ニコルさんの想いを引き継ぎ、馬とともに持続可能な暮らしを実現することを目指す「ホースプロジェクト」に取り組んでいます。2015年に雪丸、茶々丸という和種馬の血を引く2頭の馬を迎え入れ、馬と人間の信頼関係を築きながら、馬が畑を耕す馬耕や、間伐材を馬の力を借りて搬出する馬搬(ホースロギング)に取り組んできました。
ホースプロジェクトを中核に、信濃町や地域の方々とも力を合わせて馬を活用した個性的で魅力ある事業を展開するため「信濃町ホースプロジェクト推進協議会」が設立され、モニターツアーや新たなプログラムの開発を進めています。
また、信濃町では、20年前から故C.W.ニコルさんの呼びかけのもと、世界に先駆けて森林療法の研究が進められてきました。アファンの森財団、信濃町森林療法研究会~ひとときの会~、株式会社さとゆめの三者で森林セラピーの事務局組織「しなの町Woods-Life Community」を運営し、全国の企業と信濃町との協定締結、企業研修や一般のお客様の受け入れ、地域住民や都市部住民向けのプログラム作りなどを行っています。信濃町が認定する森林メディカルトレーナーによる「癒しの森プログラム」は医学的効果も立証され、「森林セラピー」先進地として全国に知られています。
ホースロギングの意義を学ぶモニターツアーを開催
この度、アファンの森財団では、ホースロギングの意義を広め、価値のある木材を活用する仕組みを構築するために、令和2年度「地域発元気づくり支援金」の助成を受け、事業者向けの視察・体験ツアーを開催することとなりました。
日本では、国産材の価格が下落したことにより林業が衰退し、十分な間伐や手入れがなされない森林は荒廃が進んでいます。里山でも林床にはササなどが茂り、生物多様性が衰退しています。国産材の活用を進めるには、生物多様性を考慮した目的に合った適切な施業を行い、木材の価値を高めることが必要です。
そのひとつの手段としてアファンの森財団が提案するのが、かつて全国の農山村で行われていた「ホースロギング」です。大型の林業機械を使った林業は、大規模な林道が必要になり、災害のリスク、土壌の撹乱や樹木の損傷などの負のインパクトがありますが、馬搬の場合は馬が歩くことで土壌がほぐされ、また、残された材を傷めることなく作業ができるので、森へのダメージが少ないという利点があります。このように生産された木材は、環境に配慮した木材として付加価値が付くことが期待できます。実際に英国では、これらの馬搬材を使った家具は焼印を押して区別され、高値で取引されています。
このような仕組みの構築に向けて、ホースロギングを視察・体験していただき、ご意見をお聞かせいただける参加者を、募集いたします。
詳細はこちらからご覧ください。